→途方について村上春樹風に語る

鳥の最盛期は10日間くらいだ。

仕事の関係上、とうとう鳥の時期を一週間ほど過ぎてから、知人の裏磐梯のペンションに行った。

今年はダメだろうと思いながらも微かな期待を持って桧原湖周辺を回ったが、鳥はおろかヘラブナの産卵時期も過ぎていた。

前年、念願のヘラブナの産卵の録音適地をようやく見つけたのだが、そのヘラブナの産卵時期も一週間ほど遅い感じだった。

期待はしていなかったものの、録音出来ないという現実が分かると「何しに来たのか」と途方に暮れていた。

桧原湖末端の橋の欄干から恨めしく磐梯山を眺めていると、どこからともなく微かな水音が…。

「変だな目の前の録音適地にはヘラブナの産卵の音は数分に一回なのに？」、と耳を澄ませていると、どうも後ろから聴こえる感じだ。

欄干の反対側に行って耳を澄ますと、川の上流で魚が跳ねている様子。

思い切ってクマザサが被い茂る藪中へ入って行った。

川縁に出ると、目の前で百匹ほどの大きな魚がウヨウヨ。

メスらしき魚の腹を突いては跳ねている。

「しめた！」とばかり2台の録音機を仕掛ける事に成功した。

意気揚々とペンションに帰って聞いてみると、友人達三人で大騒ぎ、「凄い録音だ」。

しかし精査してみると2台の録音機共に電源ノイズが入っていた。

ガックリして、一晩中原因を調べたがラチがあかない。

ノイズの可能性の少ないマイクロフォンと録音機を一台持って翌日再び録音、運良く一時間の録音ができた。

絶え間なく魚が跳ねる。

鳥も鳴く。

川の石の上でカジカガエルが鳴く。

通り雨が降り注ぐ。

大きな水音が絶え間なく入るのに、聴いているとどうにも眠くなってしまう。

仕事の関係上、鳥の時期を一週間ほど過ぎてから、恒例の裏磐梯のペンションへ。

微かな期待を持って桧原湖周辺を回ったが、鳥はおろかヘラブナの産卵時期も過ぎていた。

期待はしていなかったものの、録音出来ないという現実が分かると「何をしに来たのか」と途方に暮れた。

桧原湖末端の橋の欄干から恨めしく磐梯山を眺めていると、湖の反対側から微かな水音が…。

川の上流で魚が跳ねている様子。

クマザサかき分けて上流の川縁に出ると、目の前で百匹ほどの大きな魚がウヨウヨ。

メスらしき魚の腹を突いては跳ねている。

「しめた！」とばかり2台の録音機を仕掛ける事に成功した。

この録音に友人達三人で大騒ぎ、「凄い録音だ」。

しかし精査してみると2台の録音機共に微かな電源ノイズが入っていてガックリ。

翌日ノイズの可能性の少ないマイクロフォンと録音機を一台持って再び録音、幸いな事にノイズのない録音が一時間録れていた。

絶え間なく魚が跳ねる。

鳥も鳴く。

川の石の上でカジカガエルが鳴く。

通り雨が降り注ぐ。

大きな水音が絶え間なく入るのに、聴いているとどうにも眠くなってしまう。